家族信託の登記の登記事項
- 2017/9/24
- 2018/10/1
家族信託で不動産を信託した場合の登記
家族信託の手続きを行う場合、土地・建物の不動産を信託するというケースは多くあります。
その場合、不動産の登記名義は、委託者から受託者に移転することになります。
名義変更の登記の目的は、「所有権移転及び信託」という目的になります。
家族信託で登記される内容は?
家族信託で不動産の名義変更を行う場合、信託の登記による登記事項は、不動産登記法97条で、11項目が規定されています。
- 委託者・受託者・受益者の氏名(名称)・住所
- 受益者の指定の条件・受益者を定める方法
- 信託管理人の氏名(名称)・住所
- 受益者代理人の氏名(名称)・住所
- 受益証券発行信託の場合はその旨
- 受益者の定めのない信託の場合はその旨
- 公益信託の場合はその旨
- 信託の目的
- 信託財産の管理方法
- 信託の終了事由
- その他の信託の条項
家族信託で将来の認知症対策として信託契約を締結して、不動産の登記を行う場合は、1・8・9・10・11番を登記する形になることが多いでしょう。
信託監督人と登記事項
家族信託の登記事項の中で、信託管理人や受益者代理人は登記事項ですが、信託監督人は登記事項とされていません。
名前が似ていますが、役割は全く異なります。
信託管理人とは
信託管理人とは、受益者がまだいない場合に、受益者の権利を行使することができる人です。
受益者が現に存しない(現存しない)場合というのは、たとえば、将来生まれてくる子供や孫が受益者になるというようなケースです。
受益者代理人とは
受益者代理人とは、受益者のために、受益者の権利に関する権限を行使することができる人です。
受益者の権利について、裁判上・裁判外の一切の行為を行うことができます。
信託監督人とは
信託監督人とは、受託者を監督する立場の人です。
家族信託の契約の中でも、信託監督人を設置するケースはよくあります。
信託監督人については、信託の登記の中でも、登記事項とはされていません。
しかし、不動産の処分等にあたり、信託監督人の同意・許可・協議・報告を要するなどの事項を設ける場合が多くありますので、信託監督人に関する事項が必要な場合は、その他の信託条項として登記します。
信託目録のその他の信託の条項
家族信託の登記において、その他の信託の条項に記載する登記事項には決まりがあるわけではありません。
信託による権利関係の公示や、将来的に不動産を賃貸・売却するような場合に内容を確認できるように、家族信託契約書の条項から必要な部分を抜き出して登記を申請します。不動産に関する登記になりますので、不動産とは関係ない部分の登記は不要です。
その他の信託の条項の例
- 受益権の内容
- 委託者または受益者の権利の制限
- 受益権の譲渡制限
- 委託者から受託者への賃貸人の地位の承継
- 委託者の権利の放棄
- 受託者の変更
- 信託監督人
- 信託の変更
- 清算の方法
- 残余財産の帰属権利者(権利帰属者)
信託法
(信託の登記の登記事項)
第九十七条 信託の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所
二 受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め
三 信託管理人があるときは、その氏名又は名称及び住所
四 受益者代理人があるときは、その氏名又は名称及び住所
五 信託法 (平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項 に規定する受益証券発行信託であるときは、その旨
六 信託法第二百五十八条第一項 に規定する受益者の定めのない信託であるときは、その旨
七 公益信託ニ関スル法律 (大正十一年法律第六十二号)第一条 に規定する公益信託であるときは、その旨
八 信託の目的
九 信託財産の管理方法
十 信託の終了の事由
十一 その他の信託の条項
2 前項第二号から第六号までに掲げる事項のいずれかを登記したときは、同項第一号の受益者(同項第四号に掲げる事項を登記した場合にあっては、当該受益者代理人が代理する受益者に限る。)の氏名又は名称及び住所を登記することを要しない。
3 登記官は、第一項各号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、信託目録を作成することができる。
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