名古屋市千種区でのご相談:家族信託とマイナス不動産売却
- 家族信託の認知症対策
- 2022/11/4
- 2023/4/26
千種区での家族信託事例: 『サザエさん』に見立てての解説
名古屋市千種区での家族信託とマイナス不動産売却についてのご相談事例の紹介です。なじみやすく、『サザエさん』の登場人物に見立てての事例解説をしたいと思います。
相談内容:マイナス不動産への不安
相談者は、千種区在住の60代の男性(以後、カツオという。)でした。相談内容は、ご自身の父親(以後、ナミヘイという。)が所有している不動産が、『もっていること自体に不安要素がある負の不動産(以下、『負動産』という。)』であり、ナミヘイさんの相続が発生する前に何とかしたいということでした。
負動産の処分は、一般的にはとても難しく、また加えて、ナミヘイさんの判断能力も日々低下しており、不動産の売却のように長期での対応が必要となる事項に対して、「最後まで耐えられるのか?」という不安もありました。
そこで、『負動産をナミヘイさんの相続開始前に売却したい』という目的を達成するため、当事務所にご相談をいただいたというわけです。
今回の家族信託相談事例の肝心な部分
今回のお悩みの肝は、何も対策せずにナミヘイさんが亡くなってしまった場合、当然にナミヘイさんの相続人に負動産の権利が移ります。
カツオさんは、下記二つの大きな部分を解消した上で、ナミヘイさんの相続を迎える必要がありました。このカツオさんの抱えるリスクを除去することが今回の相談の肝でした。
相続放棄では管理責任が残る可能性がある
当初は、カツオさんや他の兄弟姉妹(以後、サザエとワカメという。)も『相続放棄』ということを考えていたようですが、相続放棄では、不動産の最低限の管理責任をだけは残ってしまうので、負動産のリスクを100%回避することはできません。
不動産が売却できない可能性がある
管理責任を逃れるために、ナミヘイさんの相続が発生する前に売却もしくは第三者に贈与するなどして、「無い状態」にする必要があります。しかし、不動産の売却には、所有者の判断能力が必要となるので、日々判断能力が低下しているナミヘイさんの状況だと、仮に将来的に買い手が付いたとしても、「いざ売却」となったタイミングでちゃんと売却ができないというリスクもあります。
ナミヘイさんの代わりにカツオさんが不動産を売却できるよう状況を整える
そこで、当方が提案したのが、『家族信託』です。家族信託とは、財産を預ける人(委託者)と財産を預けられ管理を任される人(受託者)をあらかじめ決めておき、委託者が任せた財産の範囲内で財産管理を代理で行える(不動産の売却対応も含む)ようにしておく制度です。
まずは、負動産売却が長期戦になったとしても、代理の管理者で負動産の売却が可能となるようリスクヘッジをとることにしたわけです。この提案に対し、ナミヘイさんもカツオさんも、サザエさんもワカメさんも快諾いただき、家族信託契約の締結を進め、完了しました。
家族信託契約締結後について
ただ、今回の磯野家の問題は、家族信託契約を締結するまでがゴールではありません。最終ゴールは当然、『負動産の処分』です。
家族信託契約手続きを終え、その後当方が行ったことは、磯野家の抱える負動産を売却できる可能性が少しでも上がる営業力の高い不動産会社様を探し見つけ、ご紹介することです。家族信託契約を締結するまでがサポート対象としている士業事務所も多く存在しますが、当方については、ご依頼者の悩みを可能な限り解消するところまでを含むサポートを行うことを対象としております。
結果、この度の状況を加味した上でも、売却を引き受けてくれる不動産会社様を見つけることができ、最終的には無事に負動産を売却することに成功しました。
家族信託の注意点
この度の事例では詳細な部分は触れておりませんが、家族信託にも注意しなければならない点は多々あります。
例えば、ナミヘイさんが存命中に負動産の売却ができなかった場合、家族信託を契約していたとすると、受託者が事実上相続放棄できないというような縛りがあったりします。
また、一般法である民法と特別法である信託法の優劣の問題で、先に遺言などを残していた場合に遺言と家族信託が抵触する部分では家族信託の内容が優先され、想定外の事態が起こってしまう可能性があることなどが最たる事例です。 家族内とはいえ、契約書を作成し運用する形となるため、専門家をいれずに進めた信託契約が想定外のリスクを招くことがあるので、十分に気を付けたい点だといえるでしょう。
そのような場合があるので、家族信託を検討する場合は、早い段階から専門家を交え進めていくことをお勧めします。
家族信託の手続きについてのまとめ】
「家族信託」については、まだまだ歴史が浅く、法理解も進んでいない現状があります。 しかしながら、家族信託制度を活用することで、今までの生前対策ではできなかったことが実現できる可能性も十分に出てきております。
ただ、家族信託に精通していないと、想定外の事態に備えてした対策にもかかわらず、いざという時に機能しないというリスクも発生する可能性があることも事実です。 今回は、負の財産の処分のための事例となりましたが、生前対策については、家族信託含め検討しだしたタイミングで専門家に相談しながら慎重に進めていくことをお勧めします。
名古屋家族信託相談所では、家族信託含め各種生前対策に伴うご相談について、先の事例以外にも対応した実績・ノウハウが多々あります。もしこの記事をお読みいただき、少しでも何か引っかかることがある方は、一度お話をお聞かせください。もしかしたら解決するためのご協力ができるかもしれません。初回相談は無料なので、お気軽にお越しいただければと思います。
スタッフ一同、サザエさんのように明るく元気に皆様の悩みを解消できるよう最大限尽力したいと思います。 …それでは、実際の事例を元に家族信託によっての相談・解決事例のご紹介でした。 最後までお読みいただきありがとうございました。
※ご相談事例は、お客様との守秘義務を遵守し個人情報を特定できない形式とさせていただいております。個人情報に関するお問い合わせには一切お答えいたしかねますので、ご了承ください。
名古屋家族信託相談所のアフターサポート
名古屋家族信託相談所では、お客様との末永いお付き合いとリレーションシップの一環として、アフターサポートに力を入れております。是非お気軽にご相談ください。
家族信託・法律顧問サポート
今回ご相談いただいた家族信託だけではなく、各種法律問題の無料相談のほか、弁護士・税理士・FPなど各分野の専門家をご紹介いたします。
家族信託後の生活設計・年金対策・ライフプランサポート
年金や定年後に不安がある方、老後をしっかり考えておきたい方にご案内しているサポートです。
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家族信託後の不動産売却サポート
家族信託で不動産を信託した後、施設に入って空き家になったり、売却を考えている方にご案内しているサポートです。
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家族信託&相続対策:相続税試算・節税対策サポート
この先の相続税が心配な方、相続対策を考えたいという方にご案内しているサポートです。
相続税に強い税理士が、相続税の試算を行い、相続税試算表を作成します。
家族信託とあわせて、相続税の対策(遺産分割対策、納税対策、節税対策)を並行して行うことも可能です。