認知症対策の方法:親のアパート管理をスムーズにする手法と家族信託
- 家族信託の認知症対策
- 2024/11/26
- 2024/11/26
認知症によるアパート管理の課題
認知症が進行した場合の管理難度
認知症が進行すると、アパートの管理に多くの問題が生じます。
まず、認知症患者は物事を理解し、記憶する能力が低下するため、アパートの管理や家賃の収入管理が困難になります。
特に銀行口座からの資金引き出しが大きな問題です。認知症の進行により、口座名義人である親が銀行の窓口に行っても、銀行の本人確認・意思確認があるため、資金引き出しが不可能となります。
これにより、修繕費や大きな支払いが困難になり、管理業務が滞るリスクがあります。さらに、キャッシュカードの利用に制限がかかり、親族による代行もトラブルを引き起こす可能性があります。したがって、早期に対策を講じることが重要です。
家族の管理能力と口座の問題
家族が親のアパートを管理する場合、認知症の進行に伴い様々な制限が現れます。
例えば、親の銀行口座から資金を引き出す際には、本人確認が必要です。認知症が進行すると、親が銀行窓口に行っても、お金を引き出すことができず、家族による資金管理が困難になります。
キャッシュカードを利用する場合でも、修繕などの大きな支払いに対応できなかったり、キャッシュカードの磁気不良で使えなくなる事例もよくあり、いずれにしても親が窓口でキャッシュカードの再発行をするときに問題が発覚します。そもそも、キャッシュカードの使用は通常、本人のみが行えるものであり、親族が代わりに使うとトラブルが発生する可能性があります。
成年後見制度のメリットとデメリット
成年後見人の役割と対応範囲
成年後見制度は、認知症などで判断力が低下した人の代わりに、成年後見人が事務手続きを行う制度です。成年後見人は家庭裁判所により選任され、法律的にその役割を担います。
後見人の主な役割には、財産の管理、契約の締結、医療や福祉サービスの手配などが含まれます。家庭裁判所は成年後見人の行動を監督し、本人の利益を守るために一定の制限を設けています。このため、成年後見人は安定した管理を行える反面、自由度が限られます。特に、アパートの修繕や投資的な支出には慎重な判断が求められるため、希望どおりの管理ができるとは限りません。
成年後見制度の利用の際の注意点
成年後見制度を利用する際の注意点は、後見人の選任とその制限です。
後見人は、家庭裁判所が選任します。以前は、家族や親族などの身内が後見人になることが多かったですが、近年では、専門職(弁護士や司法書士)が選ばれることがほとんどで、親族が希望する後見人が選ばれるとは限りません。
また、成年後見制度には、現状維持をして本人の財産を管理するという制約があり、大規模な修繕や投資は難しい場合があります。例えば、アパートの外壁工事などの費用がかかる場合、判断が慎重になりがちです。これにより、管理業務に制限がかかることがあります。
専門家の後見人が選任された場合は、当然、報酬が発生しますので、月々3~6万円、年間36~72万円程度の報酬が、本人が亡くなるまで一生かかることになるという点にも、注意が必要です。
任意後見と家族信託での効果的な対策
任意後見のメリットと制限
任意後見は、元気なうちに自分で選んだ後見人に対して、将来の財産管理や事務手続きを任せる制度です。認知症が進行すると、事前に選んだ任意後見人がその役割を引き継ぎます。
任意後見のメリットは、後見人を自分で選べる点と、病気や認知症による突然の不安を軽減できる点です。
しかし、任意後見がスタートすると、家庭裁判所が任意後見人を監督することになるほか、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任し、監督を行います(監督人は必須になります)。このため、監督体制により全ての決定が制限されることがあります。
任意後見人は、家庭裁判所や任意後見監督人に、管理状況を報告する必要があるため、その負担が発生することにも注意が必要です。
家族信託でのスムーズな管理の方法
家族信託は、高齢の親の財産を家族・親族に管理を任せ(信託)、子どもや信頼できる者が管理する方法です。
家族信託を設定することで、親が認知症になった場合でも、アパートの管理がスムーズに行えます。
家族信託により、アパートの名義が管理者に移り、家賃収入や修繕費の管理が信託受託者(通常は家族や子どもなど)に委任されます。
これにより、銀行口座の管理も信託用口座で行うため、本人確認の問題が解消され、自由な管理が可能になります。家族信託は、アパートの管理を公式に子どもに任せる手段として、認知症対策に非常に有効です。
家族の中だけで、管理が完結するため、外部への報告は不要で、月々のランニングコストもかからないようにすることができます。
注意点としては、家族信託をする場合は、親が元気なうちにしかできません。親が認知症になり、認知症が進行して判断能力が衰えてしまった後では、家族信託をすることはできませんので、ご注意ください。
実際に、預金が引き出せなくなったり、アパートや駐車場の管理に支障が出てしまって、問題が発生してから、家族信託のご相談に来られる方も多くいらっしゃいます。しかし、認知症が進んで判断能力が衰えていると家族信託はできず、成年後見しかできませんので、「物忘れが増えてきたかな?」「体調がおかしいことが増えてきたかな?」と感じたら、早め早めにご相談いただくことが大切です。
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