
親の預金凍結対策!家族信託で円滑な資産管理を実現する方法
- 家族信託の認知症対策
- 2025/3/26
- 2025/3/21
親の預金は本当に凍結されるのか?
預金凍結の仕組みと誤解されがちなポイント
「親が認知症になると預金が凍結される」と考える方は多いですが、実際には自動的に口座が凍結されるわけではありません。
銀行が口座を凍結するのは、認知症などで判断能力がないと確認された場合です(認知症を発症したからといって即座に口座が利用できなくなるわけではありません)。
実際の事例で、口座が凍結されたケースとしては、親が銀行の窓口に行ってお金をおろそうとしたときに、本人確認ができなかったり対話の内容がおかしかったりして、口座が止められてしまったというケースがあります。
また、ATMの暗証番号を忘れてしまったり、キャッシュカードが磁気不良で使えなくなることも意外とよくあり、そういった場合には窓口での手続きが必要となるため、そのタイミングで認知症と判断されて凍結となる場合もあります。
キャッシュカードで引き出しをしていても、上記のような事態に陥ると困るため、定期預金の解約や高額な資金の引き出しができず、実質的に「預金が動かせない」状態に陥る可能性があります。
近年では特に、金融機関は、本人確認を厳格に行うため、家族であっても代理で自由に手続きができるわけではありません。「預金凍結」となると、その後に預金を下ろしたり振込をしたいという場合には、家庭裁判所に申し立てをして、成年後見人をつけてもらうしか方法はありません。
キャッシュカードを使った引き出しは違法ではない?
親の生活費や介護費用を捻出するために、家族がキャッシュカードを使って現金を引き出すことは一般的に行われています。親の同意を得ており、親のために利用する場合は、必ずしも違法ではありません。
しかし、実務上は問題が生じる可能性があります。例えば、親の口座から大きな金額を引き出すと、銀行から不正利用を疑われたり、親が認知症になると勝手に無断で引き出したと判断されるリスクがあります。
また、キャッシュカードの磁気不良や紛失ということもよくありますし、銀行側のセキュリティ強化により利用できなくなった場合なども、現金を引き出せなくなり、生活費や介護費用の支払いに支障をきたすことがあります。そのため、より安全な資産管理の方法を検討する必要があります。
老親の金銭管理の課題と成年後見制度の問題点
判断能力の低下で預金を自由に引き出せなくなるリスク
認知症の進行によって判断能力が低下すると、親自身が銀行での手続きを行うことが困難になります。この場合、銀行は本人確認ができないとして、預金の引き出しや送金を制限します。
また、高額な医療費や介護施設の入所費用などを支払う必要がある場合、すぐに資金を動かせないと大きな問題になります。特に、本人がすでに意思表示できない状態になってしまった場合、家族が預金を動かすためには法的な手続きを経る必要があります。
成年後見制度を利用すれば、家族が親の財産管理を代行できますが、この制度にはいくつかの注意点が存在します。
成年後見制度の注意点・デメリットと費用負担の現実
成年後見制度は、認知症や判断能力が低下した高齢者の財産を保護するために設けられた制度で、最後のセーフティネットと言える制度です。しかし、利用にはいくつかの注意点があります。
まず、成年後見人を選任するには家庭裁判所の手続きが必要であり、申し立てから実際の後見開始までに数カ月かかることがあります。また、成年後見制度では、裁判所が監督することになりますので、成年後見人には定期的な報告義務があります。また、後見人を誰にするかは、裁判所が決定します。実際には、弁護士や司法書士など、専門職の後見人がつくケースのほうが多く、月々の報酬(毎月2万円から6万円)がかかります。
さらに、一度成年後見制度を利用すると、親が亡くなるまで制度を終了することができず、管理費用が生涯にわたって発生する点も大きな負担となります。
そのため、より柔軟に資産管理ができる方法として「家族信託」が注目されています。
家族信託を活用した金銭管理の実務
家族信託なら親の財産を柔軟に管理できる
家族信託は、親が元気なうちに信頼できる家族(子どもなど)に財産管理を託す仕組みです。これにより、親が認知症を発症した後も、受託者である子どもがスムーズに預金を管理し、必要な支払いを行うことができます。
家族信託の最大のメリットは、成年後見制度と異なり、自由度が高い点です。受託者は親のために財産を管理しながら、必要に応じて資金を活用できます。
また、信託契約を結ぶことで、親の意思を尊重した資産管理が可能となり、柔軟な財産運用が実現します。
「信託口口座」と「分別管理」の重要性と具体的な対応策
家族信託を行う際、分別管理義務があるので、受託者の個人口座と親の信託財産を明確に分けることが必要ですです。そのために、「信託口口座」を活用します。現時点では、信託口口座を開設できる金融機関は限られており、すべての銀行が対応しているわけではありませんので、お客様の状況に応じて、最適な口座管理をご提案しています(信託口口座の開設は、専門家を通して手続きを行う必要があります)。
家族信託では、信託契約書を作成して、信託口口座の活用や信託専用口座の口座情報を記載し、分別管理を徹底することで、税務上や法律上のリスクを回避できます。
家族信託で、親の資産を安全かつ円滑に管理できる体制を構築できます。
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