
認知症対策にも有効!家族信託でよくある失敗パターンと安全な進め方
- 家族信託の認知症対策
- 2025/9/26
- 2025/9/26
家族信託は、超高齢社会における財産管理や資産承継に有効な仕組みとして広がりを見せていますが、その一方でトラブルも発生していると指摘されています。これらのトラブルを避けて安全に家族信託を進めるためには、以下の危険なパターンを理解し、適切な対策を講じることが重要です。
危険な家族信託のパターン
家族信託でトラブルにつながりやすい主なケースは以下の通りです。
契約書に関する問題
◦ 自分たちで契約書を作成し、法的に無効な内容になってしまうケースがあります。信託法や実務に精通していないと、不動産の信託登記や預貯金の移動ができないなど、実効性のないものとなったり、贈与税などの税金が発生するリスクもあります。
◦ 公正証書を作成しないと、委託者(老親)が判断能力を失ったり亡くなった後に、契約の有効性が争われるなどトラブルのリスクが高まります。
◦ 老親の理解力・判断能力が著しく低下した段階で契約を締結しても、法的に無効となる恐れがあります。
財産の管理・税金に関する問題
◦ 受託者(子)が信託財産である金銭を分別管理するための**「信託口口座」が開設できない**ことがあります。信託口口座に対応している金融機関はまだ少なく、法的に問題のある信託契約書では口座開設を拒まれる可能性が高いです。信託口口座でない場合、受託者の固有資産と混同されたり、受託者の死亡時に口座が凍結されたりするリスクがあります。
◦ 信託できない財産を対象にしてしまうと、実務上、何の役にも立たない可能性があります(例: 特定の預貯金、生命保険、具体的な指定のない全財産)。
◦ 抵当権付きの不動産を信託財産にする場合、金融機関の事前承諾が必須です。承諾なしに信託すると、ローンの一括請求を受けるリスクがあります。
◦ 遺留分侵害額請求の対象から信託財産を除外することはできません。遺留分対策を主目的とした信託が無効となる判決事例もあり、専門家との十分な検討が必要です。
◦ 委託者(財産所有者)と受益者が異なる設計にすると、受益者に高額な贈与税が課税されるリスクがあります。
◦ 信託財産からの損失が、他の不動産所得と損益通算できなくなり、所得税が高額になることがあります。
専門家の選定に関する問題
◦ 専門家報酬が想定外に高額になることがあります。初期費用は安くても、月額報酬やシステム利用料などのランニングコストがかかるビジネスモデルに注意が必要です。
◦ 知識や経験の足りない専門家に依頼してしまうと、長期的なサポートが得られず、問題解決が難しくなる可能性があります。
安全に家族信託を進める方法
家族信託を安全に進めるためには、以下の点に留意しましょう。
- 家族会議でしっかり話し合う: 親世代と子世代が揃い、親の老後や資産承継について、全員が納得できるまで話し合うことが大切です。
- 専門家に同席してもらう: 家族会議には、家族信託だけでなく、遺言や任意後見など、さまざまな生前対策に詳しい専門家(弁護士や司法書士など)に同席してもらい、円滑なコミュニケーションをサポートしてもらいましょう。
- 複数の専門家を比較検討する: 適切な専門家を見極めるため、実績、報酬総額、スキル、アフターサポートなどの観点から、複数の専門家を比較検討することが推奨されます。
- 親の老後対策は早めの取り組みが大事: 認知症が進行して手遅れになる前に、家族信託の設計を含めた親の老後対策に早期から取り組むことが非常に重要です。
名古屋家族信託相談所では、お客様それぞれのケースに沿って最適な契約内容のご提案から、信託契約書の作成までサポートさせていただいております。疑問点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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