
共有名義不動産のトラブル回避!家族信託で賢く管理・承継
- 家族信託の認知症対策
- 2025/10/22
- 2025/10/22
相続で揉めないために知っておきたい、共有名義のデメリットと家族信託の活用法
放置は危険!共有名義の不動産が抱える深刻なリスク
相続が発生した際、遺産分割協議がまとまらなかったり、手続きの簡便さから法定相続分で登記したりした結果、不動産が共有名義になるケースは少なくありません。しかし、不動産の共有状態は、将来的に多くのトラブルを引き起こす可能性があるため注意が必要です。
売却や大規模修繕が困難に?「共有者全員の同意」という壁
共有名義の不動産が抱える最大のデメリットは、管理や処分に関する意思決定の難しさです。不動産の売却や、畑を宅地に変えるといった改良行為には、原則として共有者全員の同意が必要となります。賃貸アパートのような収益物件であっても、大規模な修繕や建て替えには共有者の過半数または全員の同意が求められます。
これは、共有者の一人でも反対すれば、売却や有効活用が全く進まなくなってしまうことを意味します。最初は良好だった共有者間の関係も、将来にわたって続く保証はありません。
相続のたびに権利関係が複雑化!認知症や代替わりの問題
共有状態のリスクは、時間が経つにつれてさらに深刻化します。
- 認知症による意思決定不能 共有者が高齢になり認知症を患うと、売却などの意思確認ができなくなり、合意形成が困難になります。このような場合、不動産を売却するためには家庭裁判所で成年後見人を選任する必要があり、多大な手間と時間がかかります。
- 代替わりによる権利の細分化 共有者の一人が亡くなると、その持分は相続人に承継されます。例えば、3分の1の持分を持つ共有者に配偶者と子二人がいれば、持分はさらに細分化されます。相続によって面識のない親戚などが新たな共有者として登場し、同意を得なければならない当事者が増えることで、売却などの手続きは格段に難しくなります。最悪の場合、共有者が行方不明になると、不在者財産管理人を選任しなければならず、さらなる時間と費用がかかることもあります。
共有名義問題の解決策!「家族信託」で不動産を有効活用
複雑で動きの取れない共有不動産の問題を解決する有効な手段として、「家族信託」が注目されています。
家族信託とは?共有状態を解消できる仕組みをわかりやすく解説
家族信託とは、財産の所有者(委託者)が、信頼できる家族(受託者)に財産を託し、特定の目的のためにその財産の管理や処分を任せる制度です。
共有不動産の場合、共有者全員が「委託者」となり、信頼できる特定の人物(例えば、共有者の一人)を「受託者」として、それぞれの持分を信託します。これにより、登記上の名義は受託者の単独所有となり、実質的に共有状態を解消することができます。信託された財産から生じる利益(賃料収入など)を受け取る人を「受益者」といい、多くの場合は委託者自身が受益者となります(自益信託)。
受託者の判断で管理・売却が可能に!家族信託の大きなメリット
家族信託を活用する最大のメリットは、受託者が信託契約で定められた目的の範囲内で、自らの判断で不動産の管理・運用・処分を行えるようになる点です。
これにより、共有者全員の同意を取り付ける必要がなくなり、賃貸契約や大規模修繕、さらには不動産全体の売却といった手続きを、受託者が単独でスムーズに進めることが可能になります。これは、まさに「家族信託を活用した共有不動産の解消対策」といえるでしょう。
失敗しない家族信託の始め方と契約方法の考慮点
家族信託は強力なツールですが、その設計、特に信託契約書の作成方法については慎重な検討が必要です。
契約書はどう作る?知っておきたい信託契約の主な作成方法
共有不動産を家族信託する場合、契約書の作成方法にはいくつかの選択肢があります。
- 共有者全員を委託者とする1つの契約書を作成する方法 共有者全員を委託者、共有者の一人を受託者として、1つの信託契約書にまとめる方法です。但し、専門家の中には契約の整理が難しいと指摘する声もあります。
- 委託者ごとに個別の契約書を作成する方法 委託者ごとに「信託契約書」や「信託宣言(自己信託の場合)」を別々に作成する方法です。契約数が多くなり費用や手間がかかる可能性がありますが、各契約の整合性を取ることで、より明確な信託設計が可能です。
- 受託者自身の持分は信託しない方法 受託者となる人以外の共有者だけが委託者となり、受託者の持分については信託契約を結ばない方法もあります。
どの方法が最適かはケースバイケースであり、それぞれの長所と短所を見極めることが重要です。
複雑なケースは専門家へ相談を!最適な信託設計のポイント
家族信託を検討する際は、専門家への相談が不可欠です。
信託する財産が不動産だけでなく預金など多岐にわたる場合や、現在の受益者が亡くなった後の次の受益者(受益者の承継)まで定めようとすると、契約内容は非常に複雑になります。このような複雑な内容を1つの契約書にまとめようとすると、かえって分かりにくくなる恐れがあります。
家族信託は長期間にわたる運用が前提となるため、将来起こりうる様々な状況を想定し、円滑な運用ができる契約書を作成する必要があります。共有名義のトラブルを未然に防ぎ、資産を有効に活用するためにも、家族信託に詳しい司法書士などの専門家に相談し、慎重に信託設計を検討しましょう。
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