
民事信託と家族信託の違いは?仕組み・メリット・デメリットを解説
- 家族信託の認知症対策
- 2025/12/5
- 2025/12/5
民事信託と家族信託の違いを理解しよう!適切な活用で相続・財産管理の不安を解消
民事信託とは何か?
民事信託の基本的な仕組み
民事信託とは、営利を目的とせず、財産管理を目的として行う信託契約の一種です。財産を持つ本人(委託者)が、信頼できる人(受託者)に財産の管理・運用を託し、その利益を特定の人(受益者)が受け取る仕組みです。
この制度は、委託者の判断能力が低下した場合でも、受託者が財産を継続的に管理できるという利点があります。特に高齢化が進む現代社会において、認知症などのリスク対策として注目を集めています。
信託契約の当事者と役割
信託契約には、以下の3者が登場します。
役割 | 内容 |
委託者 | 財産を信託する本人 |
受託者 | 財産の管理・運用を委任される人物 |
受益者 | 信託から得られる利益を受け取る人物 |
受託者には、善管注意義務・忠実義務・帳簿作成義務など、多くの責任が課されます。信託財産は明確に分別管理する必要があり、信頼関係が不可欠となります。
家族信託との違い
家族信託は民事信託の一種
「家族信託」という言葉はよく聞かれるようになりましたが、これは民事信託の中でも特に「受託者が家族」である場合に用いられる通称です。法律上の正式名称ではありませんが、近年は家族間での財産管理手段として広く認知されつつあります。
つまり、家族信託は民事信託の一形態であり、制度的な違いはありません。あくまで「誰が受託者か」という点での呼び方の違いです。
商事信託や遺言信託との違い
家族信託や民事信託と混同しやすい制度に、「商事信託」や「遺言信託」があります。
- 商事信託:金融機関などが営利目的で行う信託。受託者は信託業法に基づき免許・登録が必要。
- 遺言信託:遺言で信託を設定する場合と、信託銀行が提供する遺言管理サービスの二つの意味がある。
このように、民事信託とそれ以外の制度は、目的や手続き、受託者の性質が異なることを理解しておきましょう。
民事信託の利用シーンと他制度との比較
判断能力喪失後の財産管理方法
民事信託以外にも、判断能力喪失後の財産管理には複数の制度があります。
制度 | 特徴 |
法定後見制度 | 家庭裁判所が成年後見人を選任。判断能力喪失後に利用可。 |
任意後見制度 | 判断能力を失う前に契約を結ぶ。後見人を本人が選べる。 |
財産管理委任契約 | 判断能力があるうちに財産管理を第三者に委任する制度。 |
これらの制度と比較すると、民事信託は柔軟性が高く、生前から死後までを見据えた長期的な財産管理が可能という強みがあります。
それぞれの制度のメリット・デメリット
民事信託は自由度が高い反面、受託者の負担や税務上の注意点があります。以下にまとめました。
制度 | メリット | デメリット |
民事信託 | 柔軟な財産管理、3代先まで指定可能、相続対策にも有効 | 受託者の権限が強く、使い込み等のリスクがある |
任意後見制度 | 後見人を自分で選べる | 契約発効に裁判所の関与が必要 |
法定後見制度 | 判断能力喪失後も利用可 | 本人や家族の意思が反映されにくい、資産運用は制限される |
財産管理委任契約 | 裁判所を介さず手続きが簡便 | 委任者の判断能力のある内しか効果を発揮しない |
民事信託のメリットとデメリット
民事信託の主なメリット
- 判断能力喪失後も財産管理が可能
家族や信頼できる第三者が、契約内容に沿って財産管理を継続できます。 - 柔軟な資産承継が可能
受益者を最大3代先まで指定でき、複雑な家族構成でも意図した財産承継が実現できます。 - 裁判所手続きが不要でスピーディ
後見制度と異なり、契約だけで利用開始できるため、費用や時間を節約できます。また財産管理の自由度も高いです。
民事信託のデメリット
- 受託者の適正な管理への不安
受託者には善管注意義務や帳簿作成義務など、法的責任が生じますが、それを監督する機能が弱く、不正な使い方をされるリスクがあります。 - 税務上の問題が生じる可能性
収益物件を信託する場合、損益通算が適用できない可能性があります。 - 療養看護などの契約には不向き
信託は財産管理に特化しており、福祉施設の入居契約などはできません。 - 相続人とのトラブルの火種になることも
信託の内容が他の相続人に不利益と映ると、トラブルの可能性もあるため注意が必要です。
民事信託を活用する手順
ステップ1:信託契約の締結
まず、委託者・受託者・受益者などを明確にし、信託目的・信託財産・信託期間などを定めた契約書を作成します。専門家のサポートを受けることで、適切かつ法的に有効な契約が可能となります。
ステップ2:財産の名義変更
信託財産が不動産である場合は、不動産登記の名義を受託者に変更する必要があります。また、信託管理専用の口座も開設するのが一般的です。
まとめ
民事信託と家族信託は、高齢化や相続問題が深刻化する現代において非常に有効な財産管理手段です。制度の違いや特徴を正しく理解したうえで、自分や家族にとって最適な方法を選びましょう。
利用にあたっては、司法書士・行政書士・税理士など専門家への相談を強くおすすめします。信託は一度契約すると後からの修正が難しいため、慎重に準備を進めることが大切です。
名古屋家族信託相談所では、家族信託の実績が多数あり、家族信託の落とし穴にも配慮しながらお客様をサポートしています。家族信託に興味があるけれどよくわからない、何から始めていいのか困っている等、些細なことでもぜひ一度ご相談ください。
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