家族信託が終了した時に不動産の信託登記の手続きはどうなるか
- 家族信託の事例紹介
- 2020/11/9
- 2020/11/9
家族信託の終了時の信託不動産を帰属権利者に承継する信託財産引継の登記
家族信託が終了したときに、信託した不動産がある場合は、信託契約で定めた権利帰属者に、その不動産を帰属させることになります。
そして、その場合、登記の変更の手続きが必要となります。
この場合の登記申請において、受託者が帰属権利者として、残余財産を取得する場合の登記について、問題となります。
信託財産引継の登記の事例
【当事者】
委託者兼受益者 山田父郎
受託者 山田子太郎
家族信託が終了した時に残余財産を受け取る帰属権利者 山田子太郎
令和2年1月10日に、山田父郎が死亡して、家族信託が終了した。
家族信託の残余財産として、不動産があり、帰属権利者である山田子太郎が取得することになった。
信託財産引継の登記の検討
家族信託が終了した時の不動産の登記手続きについて、以下の2種類の方法が考えられます。
- ア 「信託財産引継」を原因として、受託者の固有財産となった旨の登記(委付)として申請する
- イ 「信託財産引継」を原因として、所有権移転登記として申請する
家族信託が終了した時の信託登記については、先例や通達がまだ少ないので、法務局と協議をして進める必要がありますが、
上記イの方法で登記の申請を行っているケースが多いようです。
申請人は、受託者が権利者兼義務者となります。
信託財産引継による所有権移転登記の申請内容
家族信託終了時に、信託財産引継で所有権移転の登記を申請する場合の申請書例は、以下のとおりです。
山田子太郎が権利者兼義務者となり、所有権移転と信託登記抹消を同時申請します。
なお、登録免許税は、相続人への移転だと、移転分として評価の1000分の4 抹消分:1000円 となります。
- 登記の目的 所有権移転及び信託登記抹消
- 原 因 所有権移転 令和2年1月10日信託財産引継
信託登記抹消 信託財産引継 - 権利者兼義務者 山田子太郎
信託財産引継による所有権移転登記の登記原因証明情報の内容
家族信託終了時に、信託財産引継で所有権移転登記を行う場合の登記原因証明情報の例は、以下のとおりです。
信託契約で残余財産を山田子太郎に帰属させる旨、信託の終了事由に該当して信託が終了した旨、信託財産の引継ぎ・信託登記抹消の旨を記載します。
1.登記申請情報の要項
- 登記の目的 所有権移転及び信託登記抹消
- 登記の原因 所有権移転 令和2年1月10日信託財産引継
信託登記抹消 信託財産引継 - 当 事 者 権利者兼義務者 山田子太郎
信託契約の委託者 山田父郎 - 不 動 産 後記のとおり
2.登記の原因となる事実又は法律行為
- 山田子太郎と山田父郎は、令和元年5月1日名古屋法務局所属公証人〇〇作成にかかる令和元年第〇号信託契約公正証書記載のとおり、山田父郎を委託者、山田子太郎を受託者とする不動産管理、運用、処分を目的とする信託契約を締結し、登記を経由した(令和元年5月1日名古屋法務局受付第〇〇号)。
- 上記契約には、信託終了時の残余財産については、山田子太郎に帰属させる旨の条項がある。
- 令和2年1月10日、山田父郎が死亡し、本件信託の終了事由に該当したため信託が終了した。
- よって、同日、山田子太郎は本件信託不動産を引継ぎ、信託登記は抹消されることとなった。
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