家族信託の活用事例と信託の可能性
- 家族信託の認知症対策
- 2021/6/25
- 2021/6/25
信託行為の構造
信託法は器であり、その中にどういう内容を盛りこんでいくかは、
信託法に抵触しなければ自由なわけです。
信託法が改正されたとき、まず司法書士が業務にいち早く取り組み始めました。
なお司法書士は、債務整理の折、簡裁代理権がなくても裁判書類作成ということで
いち早くサラ金に対峙していきましたし、
成年後見においてもいち早くリーガルサポートを立ち上げたり、
新しい分野に積極的に取り組んでいる印象があります。
次に弁護士が参入し、信託契約に盛り込む内容の開発が進みました。
さらに行政書士が参入し、税理士も参入しました。
だんだんといろいろな信託契約が作られるようになってきています。
委託者が、自分の財産を切り離して、信託財産とし、
受託者が委託(信託)を受けてその財産を受益者のために使うというのが、信託行為の構造です。
家族信託の活用事例
家族信託の活用事例としては、
が挙げられます。
家族信託での認知症対策
家族信託では、第1に認知症対策。
認知症になれば、預金も引き下ろしができませんし、家を売ることはできません。
成年後見制度がありますが、限界があり、対応できない部分もあります。
受益者連続型の家族信託
第2に受益者連続の家族信託
これは、相続の欠点を補うものでたとえば、子供のいない夫婦が、まず夫の信託財産について、まず夫が受益者となり、夫がなくなったら妻が受益者となり妻が亡くなった後は夫の血族に信託財産の権利を帰属させるというものです。
今まで、遺言で対応できなかったことを実現させることができます。
事業承継対策としての家族信託
第3に事業承継対策としての家族信託です。
たとえば、娘の婿に事業を承継させ、その次に自分と血のつながった孫に事業を承継させるという方法です。
なお、他のパターンとしては、株式が分散しないように一人に集中させ、同時に遺留分対策も行っておくという方法もあります。
家族信託での福祉型信託
第4に福祉型信託。
親亡き後に障害のある子の生活を保障したいニーズに応えるものです。
ペットの生活を守るペット信託
第5に、ペット信託。信頼できる家族や知人に、残されたペットの面倒を見てもらいたいというものです。
以上は、活用事例のほんの一部ですが、様々な活用の可能性があります。信託法に抵触しなければ、どのような信託も可能なのですから。それが魅力でもあり、専門家としては慎重に組成をすべき点でもあります。
(担当:平石)