前回までのブログもよかったらご参考にしてください。
前回までのブログ→ 条文解説(1)条文解説(2)条文解説(3)条文解説(4)

第二節 受託者の義務等

受託者の注意義務

第二十九条

受託者は、信託の本旨に従い、信託事務を処理しなければならない。

 受託者は、信託事務を処理するに当たっては、善良な管理者の注意をもって、これをしなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる注意をもって、これをするものとする。

 

【解説】受託者は、信託の本旨に従い、「善良な管理者の注意」をもって、委任事務を処理する義無を負います。

善良な管理者の注意義務とは、管理者の職業や社会的・経済的地位に応じて、業務を委託された受託者の職業や専門家としての能力、社会的地位などから考えて通常期待される注意義務のこと。注意義務を怠り損害が生じた場合は、民法上過失があると見なされ、状況に応じて損害賠償や受託者の解任などが可能となります。

信託契約等で上記の受託者の注意義務を「自己の財産におけると同一の注意をなす義務」に軽減することができます。同義務は、重過失がある場合には、損害賠償責任等を負うが、軽過失の場合は、損害賠償責任等を負わないということになります。

尚、信託契約等で、注意義務を軽減は可能であるが、なくするとは、できないとされています。

家族信託・民事信託の契約では、受託者が財産の信託を受け(預かり)、管理をするという形になりますので、責任をもって管理をしていただくためにも、善良な管理者の注意義務(善管注意義務)として設定することが多いです。

 

忠実義務

第三十条
受託者は、受益者のため忠実に信託事務の処理その他の行為をしなければならない。

 

【解説】受託者は、受益者のために積極的な忠実義務を負うとともに、消極的には、利益相反行為を行うことはできません。40条3項では、忠実義務に違反した場合、受託者は、当該行為によって受託者又はその利害関係人が得た利益の額と同額の損失を信託財産に生じさせたものと推定されると規定しています。

 

利益相反行為の制限

第三十一条

受託者は、次に掲げる行為をしてはならない。

 信託財産に属する財産(当該財産に係る権利を含む。)を固有財産に帰属させ、又は固有財産に属する財産(当該財産に係る権利を含む。)を信託財産に帰属させること。

 

【解説】受託者は、委託を受けた信託財産を自己が所有する固有財産に帰属させたり、又は、自己が所有する固有財産を信託財産に帰属させてはいけないと規定しています。

家族信託・民事信託では、受託者の自分自身の財産と、信託を受けた財産を明確に区分する必要があります。

 

信託財産に属する財産(当該財産に係る権利を含む。)を他の信託の信託財産に帰属させること。

 

【解説】受託者は、別々に委託を受けた2つ以上の信託財産を他の信託財産に帰属させてはいけないと規定しています。

家族信託・民事信託では、たとえば、お父様を委託者とする信託契約と、お母様を委託者とする信託契約の2本を締結して、信託財産の管理を行うということもよくあります。そのような場合に、お父様の信託財産を、お母様の信託財産のほうに帰属させることはできません。

 

第三者との間において信託財産のためにする行為であって、自己が当該第三者の代理人となって行うもの

 

【解説】第三者との間において信託財産のためにする行為においては、受託者は双方代理をしてはならないと規定されています。

 

信託財産に属する財産につき 固有財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う債務 に係る債権を被担保債権とする担保権を設定すること その他第三者との間において信託財産のためにする行為であって受託者又はその利害関係人と受益者との利益が相反することとなるもの

 

【解説】受託者の固有財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う債権を被担保債権として、委託を受けた信託財産に担保権を設定することは受託者にはできないと規定されています。

また、その他第三者との間おいて信託財産のためにする行為であって受託者又はその利害関係人と受益者との利益が相反する行為もできないと規定されています。

 

前項の規定にかかわらず、次のいずれかに該当するときは、同項各号に掲げる行為をすることができる。ただし、第二号に掲げる事由にあっては、同号に該当する場合でも当該行為をすることができない旨の信託行為の定めがあるときは、この限りでない。

 

【解説】前項における利益相反の制限については、次の各号に該当する場合は制限が解除されると規定されています。

但し、信託財産に属する財産(当該財産に係る権利を含む。)を、他の信託の信託財産に帰属させることについては、信託契約等に解除できない旨の定めがある場合は、制限の解除ができません。

 

信託行為に当該行為をすることを許容する旨の定めがあるとき。
受託者が当該行為について重要な事実を開示して受益者の承認を得たとき。
相続その他の包括承継により信託財産に属する財産に係る権利が固有財産に帰属したとき。
受託者が当該行為をすることが信託の目的の達成のために合理的に必要と認められる場合であって、受益者の利益を害しないことが明らかであるとき、又は当該行為の信託財産に与える影響、当該行為の目的及び態様、受託者の受益者との実質的な利害関係の状況その他の事情に照らして正当な理由があるとき。

 

【解説】

1号 信託契約書等に、利益相反行為をすることを認める定めがあるとき。

2号 受託者が、外形的には利益相反行為であるが、実質的には、受益者の利益になること等を説明して受益者の承認を得たとき。

3号 相続や遺贈の包括承継により、信託財産に係る権利が固有財産に帰属したとき。

4号 受託者が利益相反行為をすることが、信託の目的の達成のために合意的に必要と認められる場合であって、受益者の利益を害しないことが明らかであるとき、又は利益相反行為の信託財産に与える影響、利益相反行為の目的及び態様、受託者の受益者との実質的な利害関係の状況その他の事情に照らして正当な理由があるとき。

 

 

受託者は、第一項各号に掲げる行為をしたときは、受益者に対し、当該行為についての重要な事実を通知しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

 

【解説】受託者は、受益者と利益相反行為をしたときには、受益者に対し、利益相反行為についての重要な事実を通知しなければいけません。ただし、信託契約書等に別段の定めがあるときには、その定めるところによると規定されています。

 

第一項及び第二項の規定に違反して第一項第一号又は第二号に掲げる行為がされた場合には、これらの行為は、無効とする

 

 

【解説】利益相反行為の解除の規定に違反して、信託財産⇔固有財産の帰属、信託財産⇔他の信託財産の帰属が行われた場合はその帰属行為は無効とすると規定しています。

 

前項の行為は、受益者の追認により、当該行為の時にさかのぼってその効力を生ずる。

 

【解説】利益相反行為の解除の規定に違反して、信託財産⇔固有財産の帰属、信託財産⇔他の信託財産の帰属が行われた場合は、その帰属行為は無効となるが、受益者の追認があれば、行為のときに遡及してさかのぼってその効力を生じると規定されています。

 

第四項に規定する場合において、受託者が第三者との間において第一項第一号又は第二号の財産について処分その他の行為をしたときは、当該第三者が同項及び第二項の規定に違反して第一項第一号又は第二号に掲げる行為がされたことを知っていたとき又は知らなかったことにつき重大な過失があったときに限り、受益者は、当該処分その他の行為を取り消すことができる。この場合においては、第二十七条第三項及び第四項の規定を準用する。

 

【解説】利益相反行為の解除の規定に違反して、信託財産⇔固有財産の帰属、信託財産⇔他の信託財産の帰属が行われた場合は、その帰属行為は無効となります。

ただし、受託者が第三者との間において処分その他の行為をしたときは、その第三者が悪意または重過失があるときにかぎり、受益者はその処分その他の行為を取消すことができると規定されています。

この場合において、二人以上の受益者がいる場合、一人が取消権を行使した時は、その取り消しは他の受益者のためにも効力を生じます。

また、この取消権は、受益者が、取消しの原因があることを知った時からから三カ月間行使しないときは、時効によって消滅するほか、行為のときから一年経過した時も時効によって消滅することになります。

 

第一項及び第二項の規定に違反して第一項第三号又は第四号に掲げる行為がされた場合には、当該第三者がこれを知っていたとき又は知らなかったことにつき重大な過失があったときに限り、受益者は、当該行為を取り消すことができる。この場合においては、第二十七条第三項及び第四項の規定を準用する。

 

【解説】第三者との間において信託財産のためにする行為においては、受託者が双方代理をした場合、受託者の固有財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う債権を被担保債権として委託を受けた信託財産に担保権を設定すること、その他第三者との間おいて信託財産のためにする行為であって受託者又はその利害関係人と受益者との利益が相反する行為は、第三者が悪意、重過失のときにかぎり、受益者は当該処分その他の行為を取消すことができます。

この場合において、二人以上の受益者がいる場合、一人が取消権を行使した時は、その取り消しは他の受益者のためにも効力を生じます。。

また、この取消権は、受益者が、取消しの原因があることを知った時からから三カ月間行使しないときは、時効によって消滅するほか、行為のときから一年経過した時も時効によって消滅します。

家族信託のことは何でもご相談ください

はらこ事務所は、
国際センター駅1番出口・名古屋駅からはユニモール14番出口すぐにある
名駅オフィスと、徳重駅が最寄りの緑オフィスがあり、
どちらでも無料でご相談を受け付けています。

家族信託についても多くのご相談を受け、
多くのお客様の信託契約書作成にも携わっています。

家族信託について分からないことや不安に思っていることなど、
何でもご相談ください。
専門のコンサルタントが丁寧に対応させていただきます。

 

(担当:平石)

家族信託の相談に対応する司法書士

10/23.24の相談会でお待ちしております。

 

 

 

 

 

 

 

 

わからないこと、お困りのことがございましたら、お電話またはメールでお気軽にご相談ください。
手続きの費用のこと、どのくらい日数がかかるのかなど、どんなことでもかまいません。
○○のことで相談したい、というだけでも結構です。
お問い合わせいただいたご相談につきましては、親身に、丁寧にご対応させていただきますので、遠慮せずになんでも聞いてください。
相談無料、土日祝日・夜間も営業しております。
お問い合わせ、お待ちしております。

 
相談専用ダイヤル☎ 0120-889-719
(年中無休 朝9時〜夜8時)